微生物の活用で「環境」を柱に事業を推進
事業部発足で最初はどこから手がけられましたか。
「とにかく北海道から沖縄まで農家の方々の現場に出向きました。自分の足で歩いて理解する、が信条ですから。地方ではほとんどレンタカーを借りますから車のなかで作業服に着替えましてね。畜産農家も訪ねましたが、あるとき現場でたい肥づくりまで見せてもらって、その足で東京に戻りお客さんと懇親する機会があったんですが、私は少し離れて座った。なぜだと言われましたが、ちょっと靴に匂いが、と(笑)。ただ、こういう体験から現場が実感として分かっていきましたね」
アグリバイオ事業部には4部門あるそうですね。
「微生物を利用した農薬、土壌改良材が柱の農業資材分野と、家畜に与える生菌剤などの畜産資材分野、それからゴルフ場を中心とした緑化分野、健康食品などのヘルスケア分野です。
いずれの分野も微生物応用技術がキーワードです。それも遺伝子組み替え技術などを使わないで自然界から有用な微生物を選抜して使うというのが基本的な考え方です」
自然界の微生物の力に着目
「農業資材分野では最初に『Drキンコン』を平成4年に発売しました。これは「VA菌」という菌で水分や温度などの条件がそろうと芽を出して植物の根のなかに入っていくと同時に土のなかにも芽を伸ばしていきます。ですから土のなかから養分を吸い上げることで植物を健全に生長させたり収穫量を上げることにつながるわけです。
畜産資材は旧出光石油化学が以前から開発しており、ある納豆菌を牛、豚、鶏に与えると元気に育つことから、これを「モルッカ」という生菌剤として平成7年に発売しています。要は人間にとってのヨーグルトですね。また、低温でも活動する微生物も持っていて、これを利用し寒冷地でもたい肥化を促進できる資材も扱っています。分かりやすくいえば冷蔵庫のなかでも旺盛に増殖する菌です。
緑化事業はゴルフ場が中心ですが、やはり微生物技術を活かした「イデコンポ」という商品があります。これは芝の刈りかすが芝目の間に溜まって分解されないまま分厚くなったサッチ層を分解する納豆菌を入れたものです。サッチ層は病原菌、害虫の温床になりますから、最近ではサッカー場や日本庭園での試験的な導入も始まりました」
出光興産(株) 執行役員・アグリバイオ事業部長 四位敏章氏
農業協同組合新聞 - 2006/12/14
posted by masahiro @ 11:13 午後
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