非正規や年齢で残る格差 求人倍率は向上したが…
福井市内大手2丁目のハローワーク福井。「電気工事の資格はあるけど、50代だときつい仕事ばかり。長く続けられる求人はない。
正社員募集なんて40歳までかな」(57歳、男性)「正社員? あるわけない。日給の仕事がせいぜい」(61歳、男性)。求人票を見ながらぼやく2人。「売り手市場」といわれる雇用情勢から懸け離れた現実がある。
福井県の有効求人倍率は1・44倍。愛知、岐阜に次いで全国3番目で雇用環境は良いはずだが、なぜ。
「年々良くはなっているが、年齢、職種で差が大きい」。福井公共職業安定所次長の五島敏治さんは「偏り」を指摘する。
専門的・技術的能力が必要な機械・電気技術者の求人倍率は11倍、情報処理も5倍近いが、女性の希望が多い事務職は0・5倍、高齢者が多い清掃・雑役は0・2倍しかない。
「新規学卒者を除く管内の求職者のうち、就職できるのはパートを含め1割程度。全国的には恵まれている方ですが、まだまだ」(五島さん)
西川知事が就任した4年前、県内の完全失業率は4%台、有効求人倍率は1倍を割り込んでいた。そこで元気宣言のトップに掲げたのが「1万5000人の雇用創出」。
企業誘致や新規創業する事業者への助成、ジョブカフェを通じた若者の就職支援…。完全失業率2%台を目標に、雇用促進対策を次々と打ち出した。結果、昨年9月末時点で目標は達成できた、と西川知事は胸を張る。マニフェスト県政で真っ先に挙げられる成果だ。
だが、この数字には“からくり”がある。4年間で「1万5000人」が正社員になり、今も働いているのではない。「純増分は3000人ぐらい。残り1万2000人は職に就いたり辞めたりすることで毎年自然発生する新規雇用」(県労働政策課)。新たに受け皿が広がったわけではない。
今、雇用で問題なのは正規、非正規。格差社会の主因とされるが、「1万5000人」にその区分けはない。4年前は注目されていなかったこともあり、正社員だけでなく、パート、アルバイト、契約や派遣社員すべてひっくるめている。数値目標達成が強調される一方、中身への言及はほとんどなかった。
「働きたい人の正社員指向と(雇用の調整弁になる)非正社員を求める企業のミスマッチは今も続いている」。福井労働局職業安定課地方雇用計画官の近藤孝美さんは説明する。
求職者のうち正社員希望は7割前後、正社員を求める企業は5割弱?。この差は、4年間で埋まっていない。「国の施策に乗り、若者の雇用を中心に『数』では一定の成果があった」と近藤さんは評価した上で言った。「性別・年齢や正規・非正規による格差など『質』にも目を向けないと」(栃尾敏)
中日新聞 - 2007/2/14
ラベル: 求人倍率
hotclick さんの投稿 @ 0:22
0 件のコメント:
コメントを投稿
<< ホーム