医療保険で手厚い給付を受けると「医療費控除」は受けられない?
いよいよ確定申告シーズンに突入。昨年、入院や手術・出産をして「医療費控除」を受けようと考えている人も多いのではないでしょうか。
「医療費控除」とは所得控除の一つで、前年の1月1日?12月31日に自分や家族のために医療費を支払った場合、確定申告すれば一定の金額の控除が受けられる制度です。
ただし、出費した金額すべてが対象になるわけではなく、健康保険や自分で加入した保険からの給付金を差し引いて算出することに注意が必要です。
つまり、医療保険などから給付金をたくさん受け取った結果、「医療費控除」が受けられない、あるいは、受けられても少額に留まるといったケースも意外に多い現状があります。
たとえば、昨年、病気で手術を受けて20日間入院し、50万円を自己負担したケースで考えてみましょう。自分で入った保険や健康保険からの給付が無い場合では(イ)=ゼロとなるので、「医療費控除」の対象となる金額は(ロ)の10万円を差し引いて40万円です(その年の所得金額の合計額が200万円以上の場合)。
課税対象の所得金額からこの額が差し引かれて税率が掛けられるわけなので、税率10%の人(課税所得が330万円以下の人)なら4万円、税率20%(同330?900万円の人)なら8万円、税率30%(同900?1800万円の人)なら12万円、税率37%(同1800万円超の人)なら14万8000円の還付金が受けられることになります(定率減税その他の要件を考慮しない場合)。
さてここで、入院日額5000円の保障が得られる医療保険に加入しているケースを考えてみます。(イ)の金額として20万円(入院日額5000円×20日=10万円、手術給付金として10万円が支払われる場合の合計)を算入すると、「医療費控除」の対象額は20万円(=50万円?20万円?10万円)に。税率10%の人で2万円、税率20%の人でも4万円の節税にとどまるということに。
さらに、入院日額1万円の医療保険の場合では、(イ)の金額は倍額の40万円となるため「医療費控除」の対象額はゼロ。また、入院日額5000円の医療保険のケースであっても、充実保障タイプで様々な給付金を受け取れた場合は同様に「医療費控除」は受けられなくなります。
逆に言えば、たとえ医療保険に全く加入していないケースでも、公的保障による「高額療養費」や「医療費控除」といったセーフティネットによって、医療費の自己負担額をそれなりにカバーするしくみが用意されています。
医療費の負担増が心配で過度に高額な保障額で医療保険に加入する人も増えていますが、公的保障の補完の位置づけで民間の保険に加入する視点を大切に。過度に手厚い保険に加入すると「医療費控除」の恩恵は受けられない点には留意しておきましょう。
nikkeibp.jp - 2007年2月8日
ラベル: 医療費控除
posted by minasan @ 3:30 午前
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