週末はカンパーニュ(Campagne)
私が住んでいるイル ド フランス(パリ郊外)にはパリに働きに行く人達がたくさん住んでいる。なぜ、パリに仕事を持っているのにわざわざ郊外に住むのだろう?
ここはパリから西に30キロほど来たイヴリーヌ県。もちろん、メトロ(地下鉄)は通っていないがRER(Reseau express regional。近郊急行鉄道網)が走っている。パリの中心地からRER線にのって西に向かう事約20分。最初は地下を走るが、しばらくすると地上に出る。さらにもう少しすると、大きな川を越える。セーヌ川だ。すると、窓の外の景色はパリとは一転して田舎!?
パリは右を見ても、左を見てもアパルトマンの波。しかし、この辺りは駅の周りこそアパートがちらほら見えるが、パリとは全く風景が違う。電車から見える景色は木々の中から顔をのぞかせている一軒家の住宅街だ。
土地や家が安い訳ではないこの地区に何故、わざわざ電車や車に乗り通勤しながら郊外に暮らしているのだろう? それは彼らが週末は田舎でゆっくりと過ごしたいからだ。
フランス人は森と自然が大好きだ。この辺りにはいくつもの森があり、週末になると森は自転車やローラースケートなどをする人たちでにぎわう。家族で散歩や森林浴、ピクニックも楽しむ。森から少し離れると、乗馬やゴルフをする場所もいくつもある。そんなのんびりした生活を彼らは求めている。
そんな彼らは「食」にも『癒やし』を求める。近年、フランス人に人気が高い『BIO(ビオ)食品』。『BIO』とはBIOLOGIQUEの略で、つまり「有機食品」だ。フランス国内で定められてる細かい規定をクリアした有機食品には『AB』(AGURICULTURE BIOLOGIQUEの略)マークが必ず表示されている。
BIOのお店は次々に増え、各店舗には色々な食材が置かれている。ABマークのお肉、野菜、パスタ、パン、お菓子、ピザ。健康食とされている日本食も手に入る。しょうゆ、みそ、梅干し、ワカメ、昆布、のり、ごま、豆腐。ひえ、あわ、玄米。「にがり」まで置いてあった時にはびっくりした。
大手のスーパに行っても必ず『BIOコーナー』は設けられている。他の商品と比べて値段が少し高いが、健康、美容、環境にこだわる人には欠かせない物となっている。
郊外にのんびりと住み、週末BIOのお弁当を持って森林浴に行く。もちろん、森でとったランチのごみは持って帰る。
朝日新聞 - 2006/12/7
posted by masahiro @ 2:28 午後
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