2007/01/12

仮設からの出発「高齢者グループハウス」設立7年

高齢者が共同生活する民間の「グループハウス」が、阪神・淡路大震災をきっかけに神戸市東灘区で誕生し、丸七年が過ぎた。二十四時間の見守りケアを受けながら、家庭のように自由に生活するスタイルが反響を呼んだ。グループハウス第二号も設置され、今も待機者が絶えない。入居者は「大家族で暮らしているみたい」と笑顔を見せる。(網 麻子)

 運営は、特定非営利活動法人(NPO法人)「てみずの会」。第一号のグループハウスは、四階建てのコレクティブハウス「ココライフ魚崎」の一階。風呂やトイレ、食堂、交流室が共用で、個室(六畳)が四部屋ある。介護保険制度のグループホームは認知症の人に対象が限られているのに対し、グループハウスは制度の枠外で、多様な心身状態の人を対象にしている。また、制度にとらわれない柔軟なケアができるのも特徴。入居金はなく、利用料は食費込みで月十六万円程度。

 現在、入居者は八十-九十代の女性四人で、車いすの人や心臓病の人らがいる。大きなテーブルがある交流室で、職員が作った三食をとる。約二年前から暮らす堺ミツノさん(97)は、「入居者同士のけんかもあるが、仲は良い。ここの暮らしは気楽でいい」。細やかなケアのおかげで、寝たきりから回復、少し歩けるようにもなった。

 第二号は、約一・三キロ離れた「ココライフ御影」。病院だった建物の一、二階部分を活用、八世帯十人が住んでいる。

 グループハウスの出発点は、震災後に同市に建てられた高齢者・障害者向けの地域型仮設住宅。個室と共用トイレや風呂があり、常駐の生活支援員が、日常の相談に応じ、交流の場をつくった。

 同区の同住宅で生活支援員を務めた桑原美千子さん(56)らが、最後まで残った三人の居場所をつくり、同住宅の良さを生かすため奔走、グループハウスを実現させた。

 NPO法人の理事長を務める桑原さんは「七年が過ぎ、ようやく自分が老後に住みたい家が形になった。まだまだ、事業を発展させていきたい」と意気込んでいる。

神戸新聞 - 2007/1/11

posted by masahiro @ 3:13 午後

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