2006/12/21

介護の社会化は家族の解体、という見方

最近見かけた同種の表現に「介護の社会化」がありました。こちらは、介護保険に代表される制度として、その一端が具体化されています。では、育児の社会化で目指されるのは何でしょうか。前述の国民生活白書では、子育ての社会化について、「子育てが家族の責任だけで行われるのではなく」「社会全体によって」取り組まれることと説明されています。より具体的には、「親世代だけでなく、同世代の友人、あるいは会社の同僚、近隣に住む人々など、社会全体で何らかの子育てに参加する、あるいはそれができる仕組みを構築していくこと」ということです。

 調べていて気になったのは、このテーマがときに論争のまとになっていることでした。どうやら育児の社会化が、ある種のアウトソースのようにとらえられているようです。愛情で結ばれるべき親子の関係を、外部化するように思われる。そのことが家族に与える影響を心配するのが、育児の社会化を危惧する見方のひとつです。そういえば介護の社会化についても、「老親への愛情を尊ぶべき」といった声があったのを思い出します。

 なるほど、それを憂う気持ちも理解できないではありません。(小橋昭彦)

日経ビジネス オンライン - 2006年12月11日

posted by masahiro @ 2:40 午前

0 件のコメント:

コメントを投稿

<< ホーム