2006/11/14

暮らしの中の芸術知る「装飾美術館」

ヨーロッパの装飾品を中心に中世から現代までの作品を集めたパリの「装飾美術館」がこの秋、10年ぶりに改装オープンした。ルーヴル宮の一角を占める同美術館は、隣接するルーヴル美術館に比べると日本人にはややなじみが薄いが、家具や食器、玩具など持ち主の生活がしのばれるような展示品が多く、芸術を身近に感じられると評判だ。  装飾美術館は101年前、当時の優秀な職人たちにさらに高い質と芸術性を追求してほしいと願う民間のイニシアチブから生まれた。約9000平方メートルの館内はかつての宮殿の面影を残しながらモダンで開放的な雰囲気。各時代の日用品から壁紙やタペストリーまで、収蔵品約15万点のうち約6000点を常設展示する。  展示品は年代別に並べられ、ところどころに各年代の美意識を象徴する食卓や寝室を再現している。また「何に使うの?」と題したテーマ別の展示室も設置。「日常生活の二大要素??食べる・休養する」に焦点を当て、異なる時代の品を並べて展示した。一見用途のわからない昔の生活雑貨を現代のものと比較することで、職人たちの創造力を垣間見ることができる。  玩具の歴史を紹介する展示室も人気を集めている。ブリキのおもちゃやバービー人形のほか、歴代のファミリーコンピュータなど家庭用テレビゲーム機も展示。一部は実際に操作することもできる。懐かしの人形や電子ゲームに、子供や孫に負けじと見入る大人たちの姿が印象的だ。  同美術館は八ユーロの入場券を購入すると、併設の「モードと織物博物館」にも入場が可能だ。有名デザイナーの回顧展などを開くことで知られる同博物館では、老舗メゾン「バレンシアガ」の展覧会を来年1月28日まで開催している。今後はジャンポール・ゴルチエの回顧展なども予定しており、装飾美術館とあわせてひと味違ったパリの美術館巡りが楽しめそうだ。 (パリ=宇根直子) 日本経済新聞 - 2006年10月30日
posted by masahiro @ 2:16 午後

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