2006/12/19

健康運動指導士など「資格ビジネス」を役所・医師会・大学が虎視眈々と狙う

フィットネス業界が抱える最大の課題は、経験と知識豊かな現場の指導者が絶対的に不足していることだ。フィットネスアドバイザーの大河原久典さんは語る。
「だからこそパーソナルトレーナーの価値が認められ、ニーズが高まっているわけです。これをビジネスチャンスととらえたフィットネス業界では、トレーナーの資格認定をめぐるバトルが激化しています」
 確かに資格の乱立ぶりはすさまじい。厚労省の所轄団体が健康運動指導士や健康運動実践指導者を認定すれば、文科省も商業スポーツ施設指導者、アスレチックトレーナー、スポーツプログラマーなどで対抗する。
 日本医師会だって健康スポーツ医の研修制度改革に積極的だし、日本人間ドック学会が中心となり、人間ドック健診情報管理士の資格をつくる方向で動き出した。さらには民間のACSM、AFAA、NSCAといった団体も資格認定しているからややこしい。
「中でも鼻息の荒いのが健康運動指導士で、あの手この手の戦術を展開中です」と、大河原さんは言う。そのひとつが学生や大学へのアプローチだ。大手予備校の講師は語る。
「理学療法・保健系や体育系の学部を持つ大学に対し受験資格が緩和されます。さっそく筑波大や早大が、将来有望な資格だと乗り出しており、入試の競争率が高まりそうです」
 フィットネス業界3位のルネサンスも、数年かけて全国80以上の店舗に健康運動指導士を配置する予定だ。おかげで、88年の資格認定以来、1万1000人しかいなかった指導士が、数年で倍増する可能性が高い。もっとも、こんな動きを見て、ある大手クラブの幹部は警戒を強める。
「いずれ、クラブ各店に資格者を常駐させなければいけない制度ができるのではないか、と気を揉んでいます。資格を認定する、健康・体力づくり事業財団が厚労省の天下り先とは言いませんが、何やらキナ臭い……」
 前出の大河原さんもパーソナルトレーナーとして名高く、芸能人やプロスポーツ選手を数多く指導している。持っている資格は、日本ボディビル連盟公認1級指導員とAFAAパーソナルトレーナーだ。
「資格はトレーナー選びのひとつの指針ですが、資格以上に大事なのは知識と経験です。座学でこれを修得できるわけがなく、現場での実績を重視するべきです。料金が実力に比例していないトレーナーも少なくありませんから、人柄も含め、じっくりと見極めてください」
日刊ゲンダイ - 2006/12/18

posted by masahiro @ 3:18 午後

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