消費者金融が業態変化
消費者金融大手のプロミスがライブドア(東京都港区)と提携し、ライブドアのネットショッピングモール「ライブドア・デパート」の運営を4月から新たに始めることを決めました。
貸金業規制法の改正が決まり、2009年に貸し出しの上限金利が20%に引き下げられることに対応した業態変化の一環です。
プロミスに限らず、消費者金融各社で今後、本業の無担保ローン以外の収益源を確保する動きが広がるのは間違いなさそうです。
まず、改正貸金業規制法の影響をみておきましょう。
米大手格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が1月にまとめた「改正貸金業規制法による大手5社の収益への影響」によると、10年に無担保ローンの貸付残高は06年9月末に比べて5割減少し、平均貸出利回りも同23%から16・5%に低下すると試算しています。
これは、厚い利ざやによって支えられていた消費者金融業の高い収益率が上限金利の引き下げによって成り立たなくなることを意味します。
そこで各社とも生き残りをかけ、大胆なリストラ計画に取り組んでいます。
アイフルは有人店舗のほぼ8割を9月までに閉鎖し、有人・無人店舗合わせて1000店体制に削減する計画です。
米シティグループ傘下のCFJも、有人店舗320店の8割超に当たる約270店のほか、自動契約機800台のうち約100台をそれぞれ年度内にも閉鎖します。さらに、アコムなど国内大手も100店規模での店舗統廃合計画をすでに公表しています。
このリストラとともに力を入れているのが、収益源の多様化です。リストラが守りの戦略とするならば、収益源の多様化は攻めの戦略といっていいかもしれません。
新たな収益源として考えられているのが、他の金融機関から与信管理と債権管理・回収を引き受ける「保証業務」や、「事業者ローン」「海外業務」などの分野です。ただ、これらはすでに一部取り組んでおり、課題も多いと指摘されています。
保証業務では、すでに地方銀行やメガバンクと提携して進めています。資金調達が不要で、一定の手数料も見込めるため、今後も拡大が期待できそうな分野です。
ただ、消費者金融業者への行政処分などで評判が低下し、銀行が消費者金融との距離を置く可能性もあり、各社の思惑ほど増加するかは不透明です。
また、中小・零細企業を対象とする事業者ローンは、貸出金利が10?18%と、銀行の5?6%に比べて高いのですが、一定の需要の掘り起こしに成功しています。
ただ、同分野は新銀行東京など新しい銀行が設立されるなど、銀行も進出意欲が高い激戦市場です。単独で乗り出すよりも、銀行との提携活用などがカギを握ることになりそうです。
海外事業については、潜在需要はあるものの、「当面、ボリュームは見込めず、収益貢献には時間がかかる」(S&P)見通しです。
一方、プロミスが参入するネットショッピングモール事業は、消費者金融が未開拓の分野です。同事業は、来店した顧客の買い物代金支払いなど小口・短期を中心にした資金決済ニーズがあります。
現状はクレジットカードや代金引換、コンビニエンスストアでの収納代行などが利用されています。
プロミスはこの点に着目、小口・短期の資金決済ニーズに対応したこれまでにない金融商品を投入すれば、新たなビジネスモデルになると考えたわけです。
小口の超短期ローンなど、多彩な金融商品の開発に入っています。同社では、ネットモールに限らず、幅広い顧客層を開拓していくため、他社との協業を今後も積極的に進めていくとしています。
改正貸金業規制法は消費者金融の業態変化を加速させるのは必至で、今後もプロミスのような未開拓分野への進出が相次ぐことが予想されています。(小熊敦郎)
フジサンケイ ビジネスアイ - 2007年2月14日
ラベル: 業態変化
hotclick さんの投稿 @ 19:42
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