2006/11/20

高まるニーズに応える クリティカルケア看護を

 重症患者の医療を担うクリティカルケア。医療技術の進歩により,かつては死を待つばかりだった病態でも命が救われるケースが増えてきたが,そこでのケアにおいては,高度先進治療や全身管理についての豊富な知識,経験が要求される。かつてはICUや救急センターのものと考えられてきたクリティカルケア看護だが,近年,日本クリティカルケア看護学会の設立(2004年)に象徴されるように,その知識,ノウハウが一般病棟を含め,さまざまな場所で求められる傾向が出てきた。病棟での急変時はもちろん,終末期や在宅医療の現場など,クリティカルケア看護の知識・技術が活かされる場面は少なくない。弊社刊行『クリティカルケア看護のQ&A』著者であり,2007年6月に北九州国際会議場において開催される第3回日本クリティカルケア看護学会学術集会で会長を務める山勢博彰氏にお話を伺った。 クリティカルケアとは何か??近年,クリティカルケア看護が注目を集めるようになっていますが,まず,クリティカルケア看護とはそもそも何なのかというところからお話しください。 山勢 米国クリティカルケア看護師協会(American Association of Critical-Care Nurses; AACN)では,クリティカルケア看護を「実在あるいは潜在する健康問題に対する人々の反応を診断し,治療することであって,クリティカルケアでは特に,生命を脅かす問題に対して専門的な援助を行うことである」と定義しています。クリティカルケア看護とは何なのか,と問われたなら,つまるところこの定義につきるのですが,これではあまりに一般論に過ぎると思います。  まず,医療を慢性期,急性期といった「病期」で分類した場合,クリティカルケアが扱うのは急性期です。また,重症度で分類すると「重症患者への医療」ということになります。よって,クリティカルケア看護とは重症患者さんへの急性期の看護である,ということになるのですが,ここには2点,押さえておくべきポイントがあります。  1つは重症患者さんへの急性期のケアといっても,対象を全人的に捉えたホリスティックアプローチを行うことが求められるということ。クリティカルケア看護においても,基本的には看護の本質的な部分を共有しているということです。  もう1つは,生命を脅かす問題としての生理的・身体的な問題だけを扱うのではなく,心理・社会的な側面をも対象とするということ。また,患者本人だけでなく,家族を含む重要他者を対象とするということも重要な点ですね。
週刊医学界新聞 - 2006/11/20
posted by masahiro @ 8:06 午前

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