今更、日本語の重要性について論じる事は本当に必要ないのだろうか?特にSEO対策として日本語の持つ意味は、フラット化しつつあるサイバー社会において、どのような意味を持つのだろうか?
◆(1)先祖の99%が日本人という特殊性◆
四方を海に囲まれ、異民族の侵攻がほとんどなかった日本の歴史において、異国との交流の歴史は浅く「純日本人」が多い。そのため、今、日本にいる家族や友達は、ほとんどが日本語を使用し、日本語で生活する。今、日本にいる99%の日本人の先祖は日本人である。
このため、サイバー社会が確立しつつある現在、フラット化にしてるのにも関わらず、「日本語」という言語の壁があり、「準フラット化」した状態が存在している。特に、検索エンジン対策としてのSEOは、日本語の持つ特殊性と閉鎖性のため、日本人の日本語が有利に働く。
いわば言語の「鎖国状態」を作り出し、サイバー社会が到来しているのにも関わらず、未だに閉鎖的な状態になっている。
これは、日本国の日本語のみで商売をするネットショップには有利に働くが、世界を相手に商売するビジネスモデルとしては、絶対的に不利。それは、日本語の市場しか対応出来ない状態が永遠と続き、日本と日本人しか顧客になれない閉鎖した状態となる。
日本語のロングテール対策は、日本国と日本人しか対応出来ていない現実がある。凄まじい勢いでフラット化しているサイバー社会において、不思議な現象と言える。
◆(2)英語圏企業が日本語に対応し侵攻するフラット化◆
アマゾンは日本の本屋にとって脅威的な存在であり、共存共栄のスタイルをとっていない。市場を制した者が勝者であり、それに対応出来ない勢力は敗者になる。そして、その敗者とは日本語圏企業である。
リアルの世界におけるウォールマートやカルフールなどの小売業の失敗は目につく。しかし、バーチャル社会における英語圏企業のノウハウは、既に既存の日本語純粋企業を凌駕し、追いつけない状態までになってきている。
このような日本語言語に対応した「言語のフラット化」は、日本のバーチャル社会において大きな脅威になる事は確実である。特に2007年度からの英語圏や中国圏などの企業による「日本語圏進攻戦略」は加速されると予想され、ゆるま湯状態にある日本語圏企業は大きな岐路にたたされる事が予想される。
◆(3)日本語対応による半植民地化◆
英語圏においては、既にアウトソーシングの対象として、国境を越えてインドなどに仕事を依頼する事は常識となっている。これと同じ現象が日本語でも起こる。
すでに、大前研一氏などの企業などでは、住所録の管理などのアウトソーシング事業を、中国の安い賃金の所へ移行し、成功を収めている。日本語は日本人しか出来ないという「常識」が既にフラット化した社会では、過去の常識になりつつある。
これは日本国や日本人が今までに体験した事がない「半植民地化」現象の第1歩であり、バーチャル社会においては、この流れが常識になりつつある。日本語という特殊性に守れた市場から、オープンな世界へと変わる。
つい最近、「日本進出が決まった中国最大の検索サービス「百度」の実態」などの情報も来ており、日本語という障壁は過去のものになりつつある。
◆(4)商売のフラット化。日本語でSEO対策をする中国商人の野望◆
当社は中国から商品を輸入し、国内で販売する形態である。このため「メイドインチャイナ」が99%である。このため、仮に中国の工場が直接、国内の企業にアプローチすれば、大きな痛手となる。
この現実は既に営業メールで多く見られ、韓国・台湾・中国からの営業メールは1日に必ずある。しかし、商売に結びつくまでには至っていない。
だが、後数年もすれば、営業メールからホームページへと移行し、ホームページからSEO対策を実施し、検索上位表示を行う事は確実である。更に、中国などで「人海戦術」のSEO対策を実施されれば、国内の弱小SEO対策など、到底、太刀打ち出来ない現実がある。
フラット化したバーチャル社会において、このような現実は「今そこにある危機」として、常に考えておかなければならない。将来の競合相手は、同じ日本語企業ではなく、日本語に対応した外国の企業である可能性が高い。
◆(5)萌え文化の可能性、漫画やアニメやゲーム◆
漫画やアニメ、テレビゲームを見ると、日本人が制作しているのに関わらず、目の色が青色であったり、髪の色が緑色であったり、日本人である必要性が無い。サザエさんやドラえもんなどは、準日本人であるが、ドラゴンボールのキャラクターは無国籍である。
日本語を使用しているから、日本国や日本人相手に商売をしなければならない理屈はない。漫画やアニメ、テレビゲームが教えてくれる。このような無国籍の萌え文化は、大きな可能性を秘めている。
このため、情報素材が、無国籍であるならば、情報輸出が可能であり、全世界をマーケットに出来る可能性を秘めている。日本語だけのロングテールを期待した商売から、全世界をマーケットへと商売する仕組みを構築する事が、これからのネットショップには求められる。
◆(6)情報輸出企業への転換◆
フラット化した世界において、いつまでも日本語に守れた商売をしていては、アマゾンなどの企業が進出した時、大きな痛手を受ける。下手をすれば致命的な打撃となり、完敗する可能性すらある。
こうした中、2007年度からは、多くのネットショップで、情報輸出商品を多く持つ事が、次のバーチャル社会において、大きな競争力を持つ事に繋がる。商品を送るという行為ではなくても、コミュニティとしての情報提供でも良い。
例えば、パン屋なら、日本ではこんなパンが売れている!という情報を、全世界に発信し、コミュニティ化する事で、大きな情報価値を手に入れる事だって可能だ。YouTubeなどに動画を投稿してもよい。
フラット化した社会は、コミュニティもフラット化する。近年ではSecond Lifeなどのバーチャル空間でトヨタなどが、積極的にコミュニティ化を狙い、大きな成功を収めている。
フラット化を恐れるのではなく、楽しむ心が必要になる時代へと進むと思う。
CNET Japan - 2006/12/6
posted by masahiro @
3:05 午後